ブログ開設4周年

ブログ「藤沼康樹事務所(仮)」開設4周年を迎えました! この間と投稿数もあまり延ばせず,すくないエントリーでしたが,一つ一つのエントリーはかなり気合をいれて作りました。案外,投稿を楽しみにしておられる読者の方も結構いらっしゃって,嬉しいです…

家庭医療学と糖尿病診療の関係について

2型糖尿病と患者中心のアプローチ 2012 年 及び2015年[1]に、ADA(米国糖尿病学会)/EASD(欧州糖尿病学会)による 2 型糖尿病治療の新たな Position Statement (合同声明)が発表された。このガイドラインは「患者中心の治療」という考え方を取り入れ たこ…

小説よまない家庭医にすすめたい恋愛小説「マチネの終わりに」

今回は私が注目して,フォローしている現代作家平野啓一郎氏の手による小説で,2016年の話題作でもあった恋愛小説「マチネの終わりに」(毎日新聞出版)を取り上げます。この作品は,アラフォーの天才クラシック・ギタリストの蒔野と,同じくアラフォーで紛…

米国の家庭医療専門医制度から学ぶべきものを再考察

はじめに プライマリ・ケアに携わる医師のトレーニングは、常にその国や地域のヘルスケアシステムから要請される医師像に依拠するものである。しかし、例えば心臓外科医ならば、心臓外科医にもとめられるコンピテンシーはヘルスケアシステムに依存することな…

省察的実践家としての家庭医

省察的実践家とは何か 医師の専門領域の細分化は、患者にきめ細かなサービスを提供できるようになるという利点があるが、複合的・領域横断的な複雑な問題に対応できなくなるというリスクがある。現代において、細分化と患者ニーズの複雑化が同時並行的に進む…

家庭医をテーマにしたテレビドラマを妄想するw

現実逃避の妄想です・・・ 日曜夜9時の連続ドラマ「家庭医療レジデンシー物語」ってのをもし作るなら・・・ 舞台は東京下町の家庭医療教育診療所。3人の家庭医療レジデント(専攻医)が地域の中で様々な思いをもって,ホンモノの家庭医になるべく奮闘する笑…

都市部開業医のマイクロプラクティス化

ご無沙汰しております!今年もよろしくお願いいたします。更新がとどこおってしまっておりますが,今年から雑誌連載をはじめまして,医学書院「総合診療」誌上で,「55才からの家庭医療学」というタイトルです。この数ヶ月そちらに注力していたため,SNSなど…

今年読んだ本の自分的ベスト3を選ぶ

たまに医療系ではないエントリーも欲しいという貴重なご意見もいただいたので,年間ベスト◯◯的なものものせてみます。ことしは結構専門書以外の本も読みました。特にキンドル(E-inkを使ったも)は自分的には福音です。老眼がすすんで,もう文庫本はそのまま…

InterprofessinalismとValues Based Care

専門職連携実践が注目されているわけ 専門職連携実践:Interprofessional work(以下IPW)は日本の医療・介護・福祉の領域において、現在ブームになっているといってよいでしょう。昔からチーム医療は大事だと言われ続けてきているわけですが、改めてIPWが日…

情報伝達ではないコミュニケーションも医療現場には必要

吉田尚記著「なぜ,この人と話をすると楽になるのか」太田出版,を読んで,いろいろ考えさせられました. プライマリ・ケアの現場では,患者医師関係はきわめて重要な構成要素であり,また地域基盤型ケアにおいては多職種連携実践が必要であり,また施設連携…

看護理論と看護のメタ・パラダイム イントロダクション

看護ほど、病いのなかにいる人間に対してケアを提供しながら、その実践のなかから理論やセオリーを導き出そうという困難な道程を歩んでいる領域はないと思うが、そうした実践からうみだされた理論が看護理論である。 看護学という学問領域は、人間とはどうい…

地域包括ケアと規範的統合そして健康の定義

1.地域包括ケアにおける水平統合、垂直統合と規範的統合 地域包括ケアの時代においては医療専門家、介護専門家、福祉専門家、地域住民、自治体職員など地域ベースの統合(水平統合)と、在宅医療、診療所、各種施設、中小病院、大病院、大学病院などの医療…

Integrated Careと家庭医

今年のプライマリ・ケア連合学会学術大会で私達のグループが実施した地域包括ケアに関するワークショップでご協力いただいた,兵庫県立大学の筒井教授のレクチャーに非常に感銘を受けました。なぜかというと,地域包括ケアの理論的基盤としてIntegrated Care…

都市型診療所家庭医の私的エッセンシャルドラッグ或いはP-ドラッグ(改訂継続中)

家庭医の自家薬籠において,「よく処方するくすり」ではなくて,これがないと家庭医療ができないよ!!的なくすりのリストを作ろうとしていますが,いまのところあれこれ検討して,以下のようになっています。一部商品名になってます。わたしのコンテキスト…

総合診療医養成のKey Issues

最近時節柄?総合診療医の専門研修に関して,お呼ばれしてお話することが増えました。このところお話している内容をまとめてみました。 総合診療専門医のコアとなる6つの能力 総合診療専門医に必要な6つのコアコンピテンシー(日本専門医機構)とは、1.人…

日本におけるEcology of Medical Care:10年で変化したのか?

2003年に福井ら*1によるEcology of Medical Careの論文が出てから10年経過しました。そして2014年にTakahashiらが同様の研究を発表している*2。これは学会抄録集のみがPublsihされているので,詳細なデータを確認できませんが,非常に興味深いです。 結論か…

プライマリ・ケア担当総合診療医の臨床推論(承前)

通常の診療は、それが初期診療であれば、症状/主訴から病歴聴取、身体診察、各種検査を経て医学的診断にいたり治療が可能になると考えられているが、それだけで実際の初期診療が成立しているわけではない。 Fukuiら*1によると一般日本人1000人が一ヶ月間にな…

アカデミックな総合診療に参入する家庭医に向けて

1966年、Ian McWhinneyが37歳のとき、医学においてある分野が専門性があるとされる条件について記述しています。それは、 (1) A unique field of action.(特異的な医療活動の場がある)(2) A defined body of knowledge.(よく定義された知の体系がある)(3…

ケアの継続性と総合診療医

総合診療専門医のコア・コンピテンシーとしての包括統合アプローチは非常に多くの臨床能力を包含する領域である。総括的な内容は以下のとおりである。 「プライマリ・ケアの現場では、疾患のごく初期の未分化で多様な訴えに対する適切な臨床推論に基づく診断…

明けましておめでとうございます!&2015年のまとめ

みなさまあけましておめでとうございます. 今年も「藤沼康樹事務所(仮)」をどうぞよろしくお願いいたします. 更新もできるだけ頑張っていきたいと思っています. さて,週一日大学の職員をしているために,業績まとめみたいなものを年に一度提出する必要…

専門職連携教育~亥鼻キャンパスで学んだこと

千葉大学専門職連携教育研究センター(IPERC)で週一日教育と研究の時間を持つようになって、1年経ちました。たいへん得難い経験をさせていただいており、感謝の極みです。 さて、専門職連携或は多職種連携とかいま医療者教育界のトピックになっていますが、…

書評:「独立処方と補助処方~英国で広がる医療専門職の役割」

土橋朗、倉田香織訳「独立処方と補助処方~英国で広がる医療専門職の役割」(薬事日報)を読ませていただきました。 日本は高齢社会に突入し、病院から地域へ、キュアからQOLの維持・向上へ、単一急性疾患モデルからMultimorbidity(多疾患併存)へといった…

日本の総合診療は「Generalist Medicine」と呼びたい

総合診療科 2017年より総合診療が19の基本専門領域の1つとして認められることになり,「総合診療専門医」が日本に誕生する道筋がつくられることになった. 日本の総合診療の特徴は,診療所をフィールドとする「家庭医」と,病院をフィールドとする「病院総合…

研究資金のない人のためのプライマリ・ケア研究!

家庭医を長年やっていますと、やはり自分の現場に直接かかわる研究は非常に興味がありますし、特にプライマリ・ケアフィールドで実施された研究は、自分自身の診療にあたえる影響も大きいですし、また知的な楽しみや刺激があります。ですので、研究論文を読…

角川インターネット講座5「ネットコミュニティの設計と力 つながる私たちの時代」

Kindle for Android で 近藤淳也 の 角川インターネット講座5 ネットコミュニティの設計と力 つながる私たちの時代<角川インターネット講座> (角川学芸出版全集) を読み終わりました! http://www.amazon.com/kindleforandroid/ 興味深く読みました。 はてな…

中年以上の家庭医がLow Performerにならないために

*まず、はじめに 中年以降~初老期にどんなスタイルのプライマリ・ケア医や家庭医になるかについて、意識的にならないとヤバい医者になりかねない。こうした感覚は実感としてわかる。 勢いだけでUptoDateが保てなくなってきた年齢からが、ほんとうのプロフ…

ジェダイ・マスター的家庭医になるために

Robert B. Taylor著 吉村学/小泉俊三 監訳 テイラー先生のクリニカル・パール1:診断にいたる道筋とその道標 メディカル・サイエンス・インターナショナル が出版された。 僕が個人的に勝手に「Taylor三部作」と呼んでいる一連のRobert Taylor先生のマスタ…

大学病院に残る医学部卒業生をどうしたら増やせるのか?

いったいぜんたい大学医学部の教育プログラムの成果は何で図られるのか?ということに興味をもちまして、いろいろ懇談などしていますと、国家試験合格はまあ対外的には重要らしいのですが、内部的には卒業生が自分の大学病院の初期研修プログラムにどのくら…

「診療ガイドライン」と「診療マインドライン」

John GabbayとAndrée le Mayは英国のプライマリ・ケア診療のエスノグラフィー研究を約9年間にわたって行った*1。 非常に興味深いその結果を、いくつか紹介してみよう。 まず、GPの役割は以下の4つがあるとのこと。これらは全体に複雑で、混乱しやすく、同時…

米国家庭医療から何を学ぶか?患者中心のメディカルホームへ:Part 1

プライマリ・ケアに携わる医師のトレーニングは、常にその国や地域のヘルスケアシステムから要請される医師像に依拠するものである。しかし、例えば心臓外科医ならば、心臓外科医にもとめられる臨床能力のコンテンツはヘルスケアシステムに依存することなく…

診療所で家庭医がヤブ化しないための10の原則(承前)

いよいよ診療所の医者がヤブ化していく姿が、同世代でチラホラとみえるようになってきた。 若い医師は決してその医者になにかを指摘することはないので、ヤブ化している本人がそれに気づくこともない。また、日本はフリーアクセスということになっているので…

年長者よ、クラウドで仕事をしよう

2007年頃に年下の同僚からすすめられた梅田望夫さんの「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」ちくま新書 2006年 は当時僕にとっては、そうとう衝撃的な読書体験となった。「すべてがGoogleになる」「すべての人が発信者になる」といったフレーズは当…

事務所のヴィジョンとミッションを書いてみる

なんとなく事務所もそれなりに実体がでてきているので、そろそろヴィジョン&ミッション&行動計画書を作る必要がでてきたが、なかなか難しい・・・妄想も含めて、草稿としてつらつら書いてみよう。これが全部実現できるとはおもってないけれど・・・ 藤沼康…

日本のプライマリ・ケア現場におけるPopulation Health Managementを構想する

Population health management(PHM)とは、ある保険集団内の健康アウトカムの構成、その構成に影響を与える健康決定要因、さらにその決定要因にインパクトをもたらす政策と介入のことである(Nash)とされる。 日立総研の中村桃子氏による解説を要約すると、1.集団を…

日本の総合診療医の6つのコアコンピテンシー

ついにというか、やっとのことで4月20日に 日本専門医機構「総合診療専門医に関する委員会」からの報告として、総合診療専門医の6つのコアコンピテンシーが発表されました。今後はこのブログでも様々な側面から取り上げていこうと思いますが、結果的には家庭…

米国家庭医療レジデンシーのイノベーション:P4から学ぶ

2007年頃よりPatient centered medical home:PCMHを自らのもっとも中心的なプロジェクトと位置づけた米国家庭医療学会は、家庭医療専門研修プログラム(レジデンシー)がPCMHに必要なかかりつけ医(Personal physician)を養成することをアウトカムとして、…

エキスパート・ジェネラリストとはオルタナで協働的である

Complex interventionはジェネラリストらしい、あるいはジェネラリストが非常に価値のあるものとしてうけいれることができるような「介入」を考えていく上で非常に示唆的なコンセプトである。 このエントリーでは、プライマリ・ケアの場面(General Pratice…

Multimorbidityの時代と診療ガイドライン

これからの日本のプライマリ・ケアにおいては、まちがいなくMultimorbidityがキーワードなると思います。で、2005年にBoydらがJAMAに発表した論文が非常に興味深いです。これは、Multimorbidityの時代において、高齢者に頻度の高い慢性疾患の診療ガイドライ…

エキスパート・ジェネラリストとは何ができる人のことなのか?(承前)

一体ジェネラリスト医師の特徴とか特異性はどこにあるのか?ということにはそれなりに関心がある。たとえば、継続ケアとか診療の幅広さとか心理社会的な問題への対応とかを上げると、他科医師から「あ、それはオレだってやってるよ」っていわれてしまうよう…

EBP実装には究極の医療組織マネージメント能力が必要

今回のエントリーではこの文献を取り上げます。 TITLER, Marita G., et al. Translating research into practice intervention improves management of acute pain in older hip fracture patients. Health services research, 2009, 44.1: 264-287. リンク…

Urban Family Medicine@Japan構想中

大都市の家庭医療や総合診療は、地方、僻地、離島などにおけるそれとはまた違った診療展開が必要なんですが、かならずしもそれらをターゲットにしたテキストはありません。まずはブレインストーミング的に目次項目を列挙したいところ。特にNon-medical issue…

継続診療のピットフォール

継続的に患者を診ることが大切で効果的なことは自明のことのようにおもわれがちですが、長く診ることで生じる認知上様々バイアスがあるものです。 たとえば・・・1.徐々に進行する異常に気づかない たとえばパーキンソン病は徐々に進行するため、単に退行…

専門職連携教育はなぜ必要とされているのか?

専門職連携Interprofessional work(IPW)はいま日本の医療、介護、福祉の領域の教育においてはブームになっているといってよいだろう。むかしからチーム医療というのは、重視すべきと言われ続けてきたが、特に近年強調されるのはなぜか?ということに注目し…

日本における訪問看護の質向上

カナダでの訪問看護~在宅ケアへのBest Practiceの普及に関してGrounded theoryでそのプロセスを明らかにする研究論文(文献1 かなりうつくいしいものだった)をJournal Clubで読んでディスカッションになったが、その時日本の訪問看護ステーションへの適用…

ジャーナル・クラブ再考

今年1月から、あたらしい仕事として、大学院看護学研究科で月2回のJournal Clubを運営することになりました。 だいたい抄読会っていうのは、医者生活の中では、数限りなく「始めて数ヶ月で消滅」を繰り返してきたわけで、あまりよい印象がありません。まあ、…

EBMとEBP実装のあいだのギャップ

おそらく本来の意味でEBMは個別ケアレベルの実践である。 そして、たとえば組織がEvidenceにもとづく実践により診療の質の改善を図ろうとしても実際には非常に難しい場面に直面するものである。日本ではEvidenceをSpreadする方略はあまり取り上げられること…

Evidence based practiceの実装は如何にして可能なのか?

遅ればせながら、今年もよろしくお願い致します。 さて、Evidence based practiceを現場に実装すること。あるいはGood Practiceを現場に導入、定着させることは、エビデンスの構築と同等あるいはそれ以上にむずかしいと思われる。 たとえば、ある医療現場で…

Promising Revolution through Family Medicine

"Genetics promises revolution" (again). Old fashioned family medicine, adequately funded and professionally led, promises bigger revolution. — Trisha Greenhalgh (@trishgreenhalgh) 2014, 12月 22 遺伝学は革命を起こすことはまちがいない。 だが…

連携という観点からみた医療者の生涯学習

専門職の連携という観点からみた生涯学習(Continuing Professional Development: CPD)の分類が試みられている。Barrによる以下の論文を参照しつつ、自分なりに整理してみたい。 Barr H. An anatomy of continuing interprofessional education. J Contin E…

慢性疾患のケアとHealth Systems Architectとしての家庭医の役割

地域基盤型のプライマリ・ケアを主たる任務とする総合診療医,すなわち家庭医にとって,慢性の健康問題のケアは極めて重要な課題である. たとえば7年前の脳梗塞により,右不全片麻痺があり,高血圧症のある69歳の男性のケアを考えてみよう.この患者の問題…