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家庭医としてのTwitter活用法

 

「プロフェッショナルとしてTwitterを利用する場合は実名で登録し公共の場で発言しているつもりで利用する」

 

はじめに

 Twitterツイッター)は、140文字以内の「ツイート」と称される短文を投稿できる情報サービスで、ツイッター社によって提供されている。「ミニブログ」「マイクロブログ」といったカテゴリーに分類される。TwitterはSocial Mediaに分類され、基本的な仕様や使い方についての説明はインターネット上に豊富に存在するが、有効活用するためには個々のツイートの構造について知っておく必要がある。

 例として、AnnalsFamilyMedicine(ユーザー名)@AnnFamMed(アカウント名)のツイートを1つ取り上げてみよう。

MT @ChaireRechMC: annfammed.org/cgi/content/lo… On implicit ethnic racial bias #NAPCRG2013 Plus editorial at ow.ly/qItGS

 このツイートは、

「以下は @ChaireRechMCの発言の引用である。人種バイアスについてのAnnfammedの論文とそのエディトリアルはここにある ow.ly/qItGS(短縮されたURL)この発言はNAPCRG2013というグループに共有される」

といった意味になる。

 

1.クライアントアプリによるリスト管理

 Twitterを活用の最大のポイントは、フォローする/されるアカウント数を増やすところにある。私の感覚ではフォロワーが300名を超えると、発信の伝達範囲が急速に広がり、同時に受け取る情報量が飛躍的に増大するように思う。

 フォローするアカウントが増えると、ツイートのタイムライン(TL)をすべて追うのは不可能となるため、大事なツイートを見逃してしまうことも多くなる。そこで、アカウントをグループ化=リスト化して管理する必要がある。この際にリストごとにTLのカラムを表示してくれるTwitterのクライアントアプリは有用である。私はTwitter社の公式アプリであるTweetDeckを愛用しており、私は以下のリスト=カラムを設定している。

  • 発言をすべてチェックしたい友人、同僚、専門家などのリスト
  • 医学医療領域のリスト
  • 音楽や写真など趣味のリスト
  • フォローしたい公式アカウント(医学雑誌など)のリスト
  • その他気になるアカウントのリスト
  • フォローしたいハッシュタグいくつか(これはその時々の関心のありかによって変更される)

 フォローを増やすためには、フォロワーの多いアカウントをフォローすること、そのアカウントユーザーがフォローしているアカウントをさらにフォローしてみることで系統的に増やすことができる。また、フォロワーを増やすためには、積極的な発言とリツイートを根気よく続けていくことである。よいツイートはリツイートされ、それが新たなフォロワーを獲得することにつながる。

 

2.情報収集ツールとしてのTwitter

 自分の関心領域で積極的に発言しているユーザーを検索してフォローすることである。また、その発言に対してリツイートあるいは、引用してのツイート、直接返信などで気軽に関わってみることである。単にツイートを読むだけでなく、双方向性のコミュニケーションがTwitterの醍醐味でもある。ここからリアルなオフラインの交流がいくつも生じうることは筆者も経験してきたところである。

 最近では多くの海外の医学会や医学ジャーナルは、インターネット上のホームページ、フェイスブックページ、そしてTwitterの公式アカウントの3点セットで情報を発信していることが多いのでチェックしたい。New England Journal of MedicineやLancetをはじめ、多くのプライマリ・ケア関連のジャーナルのソーシャルメディア上の情報発信のボリュームは急速に増大している。

 また、積極的にTwitter上で発信している海外の著名な医師や研究者も多い。筆者もリスペクトしているプライマリ・ケア領域の研究者をフォローしているが、発言だけでなく、その研究者がどんなリツイートをし、Twitter上でどんなコミュニケーションをしているのかを見ることで非常に勉強になっている。

 そして、ハッシュタグが設定されていれば、学会や研究会の様子をフォローすることができる。近年は教育イベントなどをハッシュタグをつけて発信しているところもおおく、ライブ感があって面白い。ストリーミングなどにくらべて、手軽でスピードも早い。保健医療系のハッシュタグを収集しているThe Healthcare Hashtag Project(http://www.symplur.com/healthcare-hashtags/)というサイトもある。

 なお、後にゆっくりチェックしたい気になるツイートなどはお気に入り(Favorite)に登録しておくことができる。

 

3.情報発信ツールとしてのTwitter

 TwitterはMicrobloggingといわれるくらいであるから、ブログと同様の情報発信が可能である。だだし、ブログと違って140字の字数制限があるため、連続ツイートが必要である。そして医学医療上の話題だけでなく、社会や文化についても自分の考えなどを発信することは、これまた意外な出会いを生むことがあり、世界が広がる楽しみがある。

 ハッシュタグを設定して、参加している学会などのイベントの中継が近年盛んである。たとえば仮に◯◯研究会に参加中ならば「#◯◯研究会2014」をツイートに含めて発信すれば、関心のある人達はこのハッシュタグをクリックしてフォローすることで、あたかも学会に参加しているような気分になることも可能である。これは津田大介氏によって広まった情報発信の方法で、「tsudaる」と一般的に称され、「社会問題上重要度の高いカンファレンスにオンライン状態で出席し、現場で発表された発言の140字要約postをTwitterのTimeline上に送り続ける行為」と定義されている。筆者の後期専門研修プログラムでは、教育イベントの様子を#residentdayで定期的に発信している。スピード感のある要約をtsudaることを若手医師に担当させており、若手医師のトレーニングともなるとともに、意外な反応や有用なコメントをもらうことも多く双方向の学びを実感することができる。

 また、イベントの告知に使用することも有用である。特にフォロワーの多い方にリツイートしていただくことで、個人ではアプローチ不可能な層にイベントを広げることが可能である。これはイベントの内容や参加方法などの詳細に関するWeb上のページと連動させることが重要である。

 

4.HousekeepingとしてのTwitter

 筆者は地域基盤型プラマリケア担当総合診療医、すなわち家庭医として日々外来診療を実践しているが、外来診療中はしばしば気分転換が必要である。これは終了した診療の時に生じた感情的なゆらぎ(イライラ感、ガッカリ感等)が、次の患者の診療に反映しないように、なんらかの心的作業が必要だからである。これをNeighborはHousekeepingと呼び、プライマリ・ケア外来診療における必須の構成要素として重視している。たとえば、手を洗う、お茶を飲む、深呼吸をするといった「儀式」は昔から医師はやっているものである。筆者はこのHousekeepingとしてTwitterをしばしば利用する。単純に「う~ん、ちょっと疲れたな~」などと書きこむことは、読むほうはおそらく何のことかわからないが、こうしてことばにして外化してみることで、自分自身の気づきにもつながるものである。意外な反応をフォロワーからいただいて癒される場合もある。

 

5.利用上の注意点

*実名で登録するか?

 私は実名で登録している。Twitterの投稿内容は実はGoogleなどで検索可能な仕様になっている。それを理由に匿名で登録する利用者も多いが、その場合匿名ということでTwitterが公共の場で発言しているのに等しいということを考慮せず、かえって不適切な発言をしてしまい、問題になる場合がある。比較的クローズドなSNSであるFacebookより、より公共性を意識する必要がある。

複数のアカウントを設定するか?

 仕事用、プライベート用などで複数のアカウントを所持し管理するのは可能であるが、筆者の経験上は統一したほうが、利用頻度が増え、フォロワーが増えやすいと感じている。

*患者からフォローされた場合はどうするか

 基本的にフォローされた側が患者かどうかわからない場合が多い。基本的に医師としての相談ごとについては個々の医師のポリシー次第であるが、適切な相談は困難なことが多い。そして、普段の発言も医師としてのプロフェッショナリズムを意識したいところである。