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日本の総合診療へのアドバイスをいただきました

 英国のGPであり、総合診療のエートスを確立したとされる名著「Innner Consultation」(邦題:内なる診療)の著者である、Roger Neighbour先生が来日され、ある集まりでお話されたことの要点を以下にメモしました。
 

 英国ではGeneral practice(家庭医療、地域基盤型プライマリ・ケア)が独自の領域であり、独自のトレーニング要し、ヘルスケア上重要な位置にあることが受け入れられるまで、50年以上の非常に長い時間を要した。日本では、この数年で急速に総合診療を特別な領域として認知する動きが加速しているのは、歴史的にも非常にレアなケースであり、世界的にも注目されている。
 英国では長い間、成功と失敗を繰り返してきた歴史があり、そこから多数の教訓が導き出されている。その視点からアドバイスを試みるとすると・・・
 日本で総合診療が確立するためには、
1.患者さんと他の専門職に、総合診療の運営自体への参加と協力を要請することが極めて重要。
2.様々なメディアに対応出来る人、また発信力のある人にアンバサダーになってもらうことが有効。
3.政策立案者は健康な人が多いので、理解されにくいので、特別なストラテジーが必要。
4.総合診療のコア・バリュー、つまりはGeneralismを繰り返し検討確認する作業を怠らないことである。診療のバックグラウンドに過度にこだわると失敗する。病院なのか、診療所なのか、在宅なのかといった診療の場の違いを包含するようなCore valuesの確認を続けることが最も大事である。

5.総合診療の役割やその有用性を示すような各種Evidenceを公開していくことが必要。

 

 以下わたくしの感想ですが・・・

 世界史的にみると、医者というプロフェッショナル集団自身が、総合診療や家庭医療を独自領域として尊重しようということで、その専門性を確立した国はないといってよいでしょう。ほとんどの国が、ヘルスケア政策として、つまり国家主導で、あるいは市民運動がトリガーとなって確立されてきています。ほとんどの国で医者「のみ」が抵抗勢力となってきた歴史は日本でも同じ構図になっています。そして、そうした歴史からの教訓から学ぶことも重要です。ネイバー先生のアドバイスはそうした点でとても重みのあるものでした。

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