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日本における訪問看護の質向上

 カナダでの訪問看護~在宅ケアへのBest Practiceの普及に関してGrounded theoryでそのプロセスを明らかにする研究論文(文献1 かなりうつくいしいものだった)をJournal Clubで読んでディスカッションになったが、その時日本の訪問看護ステーションへの適用は可能かという話になった。ちなみにBest PracticeとはEvidence based practiceと言い換えても良い。ちなみに、看護領域においては、よい質的研究の成果がEvidenceとして実装されることも多い。


 さて、数字にもとづいた話ではないが、参加者の意見はいかのようなものだった。
1,カナダにくらべると小規模事業所が多い。また、いくつかのステーションを経営する大きな経営組織はすくない。
2.比較的ベテラン層の看護師が多く、またパートタイマーも案外多い。
3.訪問看護のトレーニングについては、ステーション開設時のサポートはあるが、開設後のブラッシュアップの機会はすくなく、また時間的な拘束が長く、研修会に出席するような余裕が作りにくい。
4.また、日本のある研究では、訪問看護師がもっとも学びになる経験として、指導者との同行訪問があげられているが、それを定期的に実施することはコスト面でなかなか難しいとのこと。この同行については、カナダの研究でもGood Practiceの普及のうえで非常に有用であるという記述があった。

 しかし、こうしたある種の困難を伴う現場とは、逆にイノベーションの生まれる土壌があるともいえるだろう。

 また、訪問看護師の学習ニーズに関する調査研究が日本ではいくつか散見されるが、文献2によると以下のような状況があるもよう。

1.管理者の多くが「経営管理」「ステーション運営」「ケアの質の管理」の研修を希望
2.管理者の約8割がスタッフに対して、特に専門技術に関する研修を受けさせたいと考えている
3.特に訪問看護技術は「ターミナルケア」に関するものの研修希望が多い
4.訪問看護実践指導者による指導・相談と情報検索システムの希望が多い


 この調査は2000年のもので、現時点で変化はしているのかもしれない。が、前述のJournal Clubでのディスカッションの内容を振り返るとあきらかに訪問看護コンサルタント的な存在が求められていることは、今も変わらないのではないかと感じた。現場における実践の力量、管理運営スキル、リサーチもふくめた質改善、さらにEBP実装といった経験がある訪問看護師が担当地域を決めて教育的にうごけるような仕組みがあれば、地域包括ケアの拠点的な訪問看護ステーションがうまれてくるのではないだろうか。

 こうした訪問看護におけるチャンピオン的な存在(Implementation scienceでいうところの)がもっと生み出される必要がある。これもまた高齢社会日本における喫緊の課題ではないかと思う。そして、上記の業務ができるコンサルタントとして起業する看護師が出てくると面白い。


文献1:Ploeg et al. Implementation Science 2014, 9:162
文献2:飯吉令枝, et al. N 県内の訪問看護ステーションにおける看護職の教育ニーズ.新潟県立看護短期大学紀要,6:57-70 2000

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