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年長者よ、クラウドで仕事をしよう

 2007年頃に年下の同僚からすすめられた梅田望夫さんの「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」ちくま新書 2006年 は当時僕にとっては、そうとう衝撃的な読書体験となった。「すべてがGoogleになる」「すべての人が発信者になる」といったフレーズは当時としてはかならずしもピンとこないところもあったが、大きなパラダイム転換がきているという雰囲気を感じ取ることができた。これは単純に情報伝達の問題ではなくて、生活全般、価値観、世界観に影響をあたえる変化なんだろうな、という直感もあった。

 実際に現在では、クラウドにすべてのデータを保存し、個別のPCやスマホはネットワークがあってはじめて意味を持つようになっており、SNSも日常生活にとけこんだものになっている。たとえばFacebookのデータは自分のPCやスマホにはなく、クラウド上に存在しているのだが、そういうことをもはや意識することもなくなっている。

 こうした時代において、医者の仕事(直接の診療、マネージメント、教育や研究、プライベートライフ等)にもこうしたICT(Information and Communication Technology)のパラダイムチェンジが大きな影響をあたえてきている。しかし、案外「ITは苦手」とか、「IT弱者」などと自嘲気味に語るものも中高年の医者の中には少なくないが、最近読んだ堀正岳さんによる「理系のためのクラウド知的生産術 メール処理から論文執筆まで」講談社2012は、医師が日常の生産性を向上させるために、現代のICTがどのように役に立つのか?という疑問に答える内容になっている。

 クラウドサービスとは何か?からはじまって、GmailDropboxEvernoteのいわば3種の神器の基本から解説しつつ、それらを使った仕事のコツについてわかりやすく解説している。また、論文管理については、クラウドの論文管理サービスであり、世界的に普及しているMendeleyの紹介をしているところは、類書がすくないだけに貴重である。また、無料のビデオ・音声会議システムを構築できるSkypeの使い方も実践的に紹介されている。すでにこの書籍が出版されてから3年が経過しているが、基本的に上述したサービスは継続進化しており、操作や考え方の基本は同じである。

 僕がICTにおいて、もっとも重要な成果として考えているのはSNSに代表されるあらたなコミュニケーション様式であり、広範囲に構築される弱いつながり(weak ties)、そして共有の文化である。クラウドを活用して仕事をすることはこうしたことと直結しているのである。

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アジサイ