アカデミックな総合診療に参入する家庭医に向けて

 1966年、Ian McWhinneyが37歳のとき、医学においてある分野が専門性があるとされる条件について記述しています。それは、


(1) A unique field of action.(特異的な医療活動の場がある)
(2) A defined body of knowledge.(よく定義された知の体系がある)
(3) An active area of research.(活発に行われる研究の領域がある)
(4) A training which is intellectually rigorous.(知的にしっかりとした教育が存在する)

の4つ*1です。


 日本の総合診療はこの4つとも備えることができます。ただ(2)(3)に関しては家庭医療学をビルトインする必要がある。(1)はとりあえずプライマリ・ケア現場、(4)は真正のレジデンシー構築でいいでしょう。問題は(2)(3)です。

家庭医療の知の体系については、すでに家庭医療学の諸研究に基づくGeneralist Wheel*2により可視化されています。このGeneralist wheelの各象限と境界に関する知識や研究全体の統合がアカデミックな環境で総合診療を教育研究する上では必須。研究方法論としての量的研究、質的研究、混合研究法も知っておく必要がある。アカデミックな総合診療は知的に相当タフな領域ですが、チャレンジしがいがありますね。

 

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大学にこの春転出する総合系の若手の先生方も多いと思いますが、上記4つを常に頭に入れておいてほしいです。

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*1:Mcwhinney IR. General practice as an academic discipline: reflections after a visit to the United States. The Lancet 1966; 287(7434): 419-423

*2:Green LA. The research domain of family medicine. The Annals of Family Medicine 2004; 2(suppl 2): S23-S29.