今年読んだ本の自分的ベスト3を選ぶ

 たまに医療系ではないエントリーも欲しいという貴重なご意見もいただいたので,年間ベスト◯◯的なものものせてみます。ことしは結構専門書以外の本も読みました。特にキンドル(E-inkを使ったも)は自分的には福音です。老眼がすすんで,もう文庫本はそのままでは読めなくなりましたが,Kindle Readerなら活字が大きくできて,しかもそれが単なる拡大ではないので非常に読みやすいです。そして,今愛用しているKindle Voyageが軽くて,読みやすくて,特に縦書きのキンドル本との相性は抜群で,通勤や移動中に本をよむという習慣が復活した1年でした。

 まず,このエントリーでは,マンガを除く今年の書籍自分的ベスト3をあげてみます。

 

第1位 「マチネの終わりに」平野啓一郎

マチネの終わりに

マチネの終わりに

 

 純粋恋愛小説だが,自分の年令でも十分読めるし,かなりえぐられるところもあり,新鮮な体験。50歳以上の方におすすめしたい。そもそも小説を読むって体験は,中年以降ガクッと減っているはずなので,読めた自分にびっくり。要約してしまうと,単純なストーリーなんだけど,いまどきの作家ではめずらしい過剰とも言える「描写」が新鮮だし,どの登場人物の目線で読むかで,随分印象がかわります。自分的には孤高の映画監督の父とその娘であるヒロインの和解の場面にヤラれました。皆さんおっしゃるように,ラストの美しさは絶品。急いでよまず,描写をきちんと追ってよむことをおすすめします。

第2位 「悩みどころと逃げどころ」ちきりん,梅原大吾

悩みどころと逃げどころ(小学館新書)

悩みどころと逃げどころ(小学館新書)

 

 ちきりんさんの本は,ほとんど読んでるし,ほぼ論調は把握しているのですが,この対談でうかびあがるのは,むしろナンバーワン・プロゲーマーのウメハラの真っ当さです。彼はあきらかに「義」によって立っているという印象で,印象的なフレーズが多彩にでてきます。自分的に一番好きなかれの発言は「早く行きたいならひとりでいけ,遠くまで行きたいのならみんなでいけ」というアフリカのことわざを引用して,ライバルと一緒に遠くにいくことが自分の大義であるという意味を発言をしているところですが,かなり熱くてしかも思慮深いという人柄が見てとれます。この本は,むしろベテランの職業人に読んでもらいたいですね。

第3位 「魔法の世紀」落合陽一著

魔法の世紀

魔法の世紀

 

 現代テクノロジーが人間観に根本的な変更=更新をもたらすだろうことが見えるという点で,衝撃の書といえると思います。語り口はていねいで,ですます調で優しいのですが,人間主義っていうか,人間中心主義を徹底的に破壊していきます。とくに人間の知覚の解像度をはるかにこえる測定や映像化によって,おそらく人間がコンピュータの端末になっていくということがSFでなく現実に展開しうるということに相当揺さぶられます。

 

 他にもいろいろおもしろい本にであうことができた1年でした。

 ねがわくば,Kindle本がもっと増えて欲しいです笑

 

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