Specialsit Drugとは?
以前は入院あるいは病院専門外来で治療されていた疾患や病態であったが,ヘルスケアシステムの変化により,プライマリ・ケア外来や在宅診療での継続治療へ移行するケースが徐々に増えている。また,専門外来における専門的治療を継続しつつ,プライマリ・ケア外来とのShared Careを行うことも急増しつつある。
以下の2つの場面を想定しなければならないだろう。
1.従来は病院あるいは専門医のみが処方開始していた薬剤(Specialsit Drug)を,病態が安定しているということで,家庭医に紹介転医となり外来あるいは在宅診療で継続処方する場合
2.専門科との併診していて(Shared Care),その専門医からの処方を勘案しつつ,プライマリ・ケアで対応する健康問題への処方を設計したりする場合
Specialist Drugは,家庭医の自家薬籠に入れるには処方機会がそれほど頻繁ではないため,その都度情報を集め処方する必要がある点で,独特の学習法が必要だと思う。
このエントリーでは自分自身が出会ったSpecialist Drugで印象にのこったものを「40」くらい列挙してみたい。これらのSpecialist Drugは自分で処方開始したことが無いものばかりというわけではないし,以前は自分で処方開始したものも結構あるが,診療のコンテキストの変化によって,処方しなくなったものもある。こういうリストは,家庭医の生涯学習のコンテンツとして明示してみるという点で意義があるかもしれないと思う。
1.「落ち着いたので、そちらで診てほしい」となりやすい疾患群で使用される薬剤
- PCI後(薬剤溶出ステント留置後) プラスグレル(エフィエント)
- 心房細動への抗凝固療法 エリキュース
- 心不全 サムスカ アミオダロン
- 糖尿病 イプラグリフロジン(スーグラ) リラグルチド(ビクトーザ)
- 骨粗鬆症 テリパラチド
- 肺結核 リファンピシン イソニアジド ピラジナミド エタンブトール
- 腎性貧血 エポジン注
- ED シルデナフィル
- 抗けいれん薬 ゾニサミド
(補)「落ち着いたので、在宅で診てほしい」となった場合
- 中心静脈栄養剤 エルネオパ
- 多系統萎縮症 タルチレリン(セレジスト)
2.“shared care”の対象となる疾患群で使用される薬剤 (プライマリ・ケアで処方開始することは現時点ではあまりない薬剤)
- 慢性骨髄性白血病 グリベック
- 多発性骨髄腫 ベルケイド サリド
- 乳がん タモキシフェン アナストロゾール
- 前立腺がん リュープリン
- 胃がん TS-1
- 肺がん オプジーボ
- 膵がん ジェムザール
- 腎がん スーテント
- 小児夜尿症 ミニリンメルト
- 関節リウマチ リウマトレックス シンポニー
- 抗精神薬 エビリファイ ベルソムラ リーマス
- 抗HIV薬 ダルナビル ツルバダ
- パーキンソン病 ニュープロパッチ ビ・シフロール
- 乾癬 シクロスポリン ヒュムラ
- 緑内障 ダイアモックス
- 抗HCV薬 クラタスビル塩酸塩 アスナプレビル ソホスブビル
- 抗HBV薬 バラクルード
- エストロゲン補充療法 プレマリン
- 特発性肺線維症 ピルフェニドン
以上でほぼ40剤なのだが,これは?とかあれは?といったアドバイスがあるとありがたいところです。