Expert Generalist PracticeにおけるInterpretive Medicineの意味

 健康とは、繰り返し必ず実施している日々の生活(ルーチン)を保証ためのリソースであるという前提で、健康をどう支援できるかを考えることが自己あるいは主体へのアプローチだといえるでしょう。生活ルーチンは、たとえば職業上の複雑な業務から、日々の買い物、仏壇への線香立てまで、実に様々なです。

 この生活ルーチンは自己/主体の一貫性の根拠となると考えられますが、この一貫性こそが、自己/主体というものの本質の一つです。
 さて、病いのなかにある主体は、ルーチンを行っていくことに様々な支障をかかえていますが、なんとかルーチンをすすめていくために、生活上の「創意工夫」を行っているものです。ちょっとした身体の姿勢や動かし方の工夫から、生活道具の創作まで様々な、創造的ともいえる能力を発揮すしています。この「創意工夫」する力をCreative Capacityと呼び、病いのなかにある主体は、単に病み、弱っていく主体ではなく、クリエイティブな主体、Creative Selfであるというのが、Expert Generalist Practiceにおける主体認識のキーだと考えられます。Creative Selfを支援することが、患者の主体へのアプローチであると言い換えることができます。

 この病む主体におけるCreative Selfという考え方は私自身の病い体験からも、その重要性が納得できるものです。

 そのためには、患者自身がきづいていないこともある、自己の一貫性を保証する日常ルーチンを医療者ととともに探索し、その意味を見出していく必要があるのです。おそらくこれがInterpretive Medicine(解釈学的医療)の、実践的な内実だと思います。

 

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Instagram post by 藤沼 康樹 • Mar 16, 2019 at 9:12am UTC