「Generalist 7段」相当の病院総合診療医に求められるコンピテンシー

 そうとうイケてるGeneralistは「専門医」というより段位(将棋を想定)で示すべきとかんがえているこの頃です。たとえば、機構認定総合診療専門医は、僕の考えではGeneralist 4段相当です。7段は、Expert Generalistすなわち卓越したGeneralistに与えられるべきであるというふうにみています。

 では、7段のExpert Generralistが病院総合診療医である場合に、どんな仕事(特に病棟で)ができることが必要なのでしょうか。

 これまで様々な病院総合医との対話、実際に病院の総合診療部門への訪問などを通じて僕は、以下のことができることが7段の条件だと考えています。

 逆にこれらがもりこまれていないカリキュラムは、一般内科のカリキュラムにならざるを得ないでしょう。

  • 複雑性が高く、構成要因が比較的重症な多疾患併存患者(Complex Multimorbidity)の入院治療と外来マネージメント
  • 下降期慢性疾患の入院治療と外来マネージメント(入退院を繰り返す、慢性心不全、慢性腎臓病、慢性呼吸不全等)
  • 未診断・未分化で症状が比較的重い患者の確定診断とマネージメント
  • 精神疾患合併患者の身体疾患マネージメント
  • 進行したFrailな患者(Multiple Functionlal Decline)の身体疾患急性増悪期のコントロールとマネージメント
  • 心理社会経済的問題によるCrisisサイクル(Complex/Chaos Cases)を一時的にリセットする入院患者のマネージメント 
  • 上記の構造の問題に関して必要なIllness Experienceに関するアプローチに精通していること

 ここで重要なのは、個別疾患名、たとえば、心房細動とか誤嚥性肺炎とかで仕事を規定せず、あくまで、患者の健康問題の「構造」を重視するということです。心房細動の治療ができるとかできないとかとかといった仕事内容の記述の仕方は、まちがいなくGeneralistの特徴を表現することができません。また、心理社会的背景を重視するというような漠然とした語り口もだめでしょう。診療の対象となる問題の「構造」に関する特徴で考えていくことが必須です。そうしないと、Generalistのコンピテンシーは卒前教育や卒後初期研修とみわけがつかなくなるのです。

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