ビデオ(動画)を使った外来診療トレーニングの方法

 外来診療の様子をビデオ(動画)に撮って検討するっていうのは、外来診療スキルを向上させるためには非常に有用な方法です。わたくしはこのタイプの指導が好きです。で、おそらく、わたくしがやっている診療のビデオにもとづくやり方は、この論文で提案されているProblem-based interviewingというやり方に近い。ちなみに最近はスマホやタブレットで動画を録画してくるレジデントが増えました。音質も画質もすばらしいです。ビデオカメラをつかうことはかなり減ってきていますね。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/4021857

 わりあいよく見るビデオの指導というのは、Pendletonモデルのような、全部黙って観る⇒本人にうまくいったところを話してもらう⇒指導医がよくできているところを指摘⇒本人がうまくいかなかったところを話してもらう⇒指導医がNext stepsを提示、のような流れで、静かに進みます。しかし、実際には、わたくしは「もし自分だったら、ここはこう話す」「この患者はこうしゃべっているけど、思いは実はこうなのでは?」とか、まあいろいろ考えたり、感じたりしたことを口に出す、その場で生じた考えをいかすということをしています。あ、ここはじぶんならこうするっていうようなことを、動画をボーズしながら自由にディスカッションしています。で、そのやり方が結構よい、という論文です。日本はもっと外来診療のビデオとって、学ぶ機会をもっとつくらないと、自己流のやりかたばっかりになります。 

Problem-based interviewingという手法で診療ビデオ検討ってのはこんな感じ。

レジデント:えっと田中さんっていう患者さんを外来でみたときのビデオをみて欲しいと思います。ちょっと難しくて・・・助言頂けるとありがたいです。

指導医1:ムズカシイの?どんなところが?

レジデント:はい、着地点がみつからないんです。なんか円をぐるぐるまわっているみたいなんです。

指導医2:円?

レジデント:いつも、僕が治療の提案をするんですけど、そうすると、かならず、今の症状がどんなにつらいかってことをまたはなしはじめてしまうんですよね。

指導医1:なんでその症状のはなしにもどってしまうのかな?この患者さんが、何をほんとにしんぱいしているのかについてはきいたことある?

レジデント:あ~そんなにつらくなるような病気があるっていうふうには考えていなかったかもしれません。もっと患者がなにを考えているかについてもっと深くきいてみるべきだったかもしれません。

指導医2:そうそう、たぶんそこがよいスタート地点だね。これから観るビデオで、こその患者が何を表現しようとしているかみてようかね。それでは、ビデオを流してください。

 っていうふうにやります。つまり、ビデオを撮影して、その診療において何が問題=Problemなのかをレジデントに話してもらい、すこしディスカッションしてから、その問題について、指導医が感じたり、考えたり、自分ならここはこうつっこむとかっていう発言をしていくわけです。これがProblem based interviewingという外来指導の方法といっていいと思います。

 藤沼康樹事務所(仮)では、こうした教育の提供、あるいは指導が可能です。この教育を経験してみたい方、挙手をお願いします(笑)