外来診療の場面でのカルテ上の問題リストですが、たとえば80歳女性の患者さんを想定すると、よくみるタイプというか、大多数が以下のような書き方になります・・・
問題リスト(一般的なもの)
#高血圧症
#2型糖尿病
#認知症の疑い
既往歴
5年前 右脳梗塞
12年前 胃がんで胃切除
背景
#50歳の息子さんと二人暮らし
#要介護1
これを家庭医的に書き直すと・・・
問題リスト(家庭医的なもの)
1.80/50世帯
2.Frail Elderly
Stroke survivor、要介護1、入浴はデイサービスを利用
3.安定した間質性肺炎
4.2型DM、高血圧症
5.Cancer survivor
6.Personal health resourceは東京ロマンチカ
この家庭医的問題リスト作成のポイントは、重要度ランクあるいは優先順位を表現することで、そのために順位(ナンバリング)をつけること。そして、BioPsychoSocialな様々な問題点を「等価値」なものとして評価することです。つまり、安定した間質性肺炎と80/50世帯の、どちらが優先度が高いかということを「あえて」考えることが家庭医としては大切なのです。よくきく「まず、Bioの問題は◯◯、Psychoの問題は◯◯で・・・」といった言説はある意味で「内科医的」であって、家庭医的ではないのです。
家庭医療のトレーニング、特に診療所や在宅医療の場では、患者の問題リストの立て方の脱構築を、私は重視しています。病院病棟医療に必要な問題リストの立て方はプライマリ・ケアにおいてはそれほど有効ではないと考えています。