2020年の5月頃考えていたこと

はじめに 2020年の4月から5月あたりに「総合診療」2021年1月号のために書いたエッセイは今読み返すとあらためてあの頃の気分を思い出します。現在まで、パンデミック下で圧倒的に優勢であった自然科学の知、あるいは理系の知だけでなく、いまこそ人文知が要…

総合診療/家庭医療に関心のある医師からの質問にカジュアルに答えてみたセッションの様子

今年4月に学会(JPCA)地方会にリモート参加しました。「あらかじめ総合診療/家庭医療の専攻医や指導医からの質問を集ますので、その質問に答えるようなレクチャーをお願いします」というリクエストがあり、自分的にもはじめてトライするタイプのプレゼンだ…

プライマリ・ケア私的パール集 Part 4

2021年1月26日~2月9日までにTwitterに投稿した私的パールをまとめました 【50】個々人が一日に必要とするコミュニケーション量は一定であり、高齢者の場合この量がかなり減少すると、それを補うコンテンツとして、物とられ妄想や嫉妬妄想などが生じる場合が…

プライマリ・ケア私的パール集 Part 3

2021年1月18日~25日までにTwitterに投稿した私的パールをまとめました 【38】身体診察は、医学的診断のための検査、疾患のフォローアップのための検査、無症状の疾患を発見するcase findingsの3つの役割に加えて、いわば、診断とは関係ないHealing Touchと…

プライマリ・ケア私的パール集 第2弾

2021年1月1日~16日までの私的パール集をまとめました。 プライマリ・ケア私的パール」シリーズは科学的根拠や研究的根拠があるわけではなく、一般化可能性は低いです。これらはあくまで長い職業経験・臨床経験の省察に基づくTheory in Practice(実践の理論…

プライマリ・ケア 私的パール集 第1弾

あけましておめでとうございます Twitterフォロワー数4000名超え記念で、断続的に連投Tweetした「プライマリ・ケア私的パール」シリーズは科学的根拠や研究的根拠があるわけではなく、一般化可能性は低いものです。これらはあくまで長い職業経験・臨床経験の…

MFGIPSあらため「FM is GP」というmnemonics

小ネタです 7月7日のエントリーで「MFGIPS」について、鹿児島のDrたちが主催する学習会でお話する機会がありましたが、MFGIPSではなく、FM is GPのほうがいいのではないかという、素敵はご提案をいただき、そのニイマニクス(mnemonics)を使わせてもらう…

若い学生や研修医が総合診療に魅力を感じるためには

若い人が総合診療の仕事に魅力を感じるところはいったいどこなのか?このテーマに関しては、これまで質的、量的に研究されてきた。今回のエントリーでは、僕自身が20年以上若い医師が、ジェネラリストの道をあゆむようになったケースをみてきて、確信をもっ…

Multimorbidity時代の外来教育モデル「MFGIPS powered by YasukiF」

現代日本のプライマリケア外来において一般外来担当医が困難性を感じるのは、むしろ後期高齢者、フレイル、多疾患併存(multimorbidity)、社会経済的複雑性をもった患者でしょう。こうした患者レイヤーは、外来では「慢性疾患」患者と呼ばれているのですが…

Family Medicine and Pandemic

According to the literary critic Ryota Fukushima's essay "The Inner Enemy and Negative Festivals: Between the Earthquake and the Coronavirus," the peculiarities of SARS-COV-2 are twofold. The first is that SARS-COV-2 infection has a wide s…

Theory, Culture and Family Medicine Interest Group 作ります

ご無沙汰しております。首都圏でもSARS-COV-2パンデミック第一波がおさまりつつあります。この間停滞した様々な活動もありますが、対話や学びの機会は、リモート会議システム等の発達もあり、むしろ増えてきているという印象があります。 そういう状況もあり…

診療所経営戦略に関するメモ

2020年になりました。今年も細々とですがBlogエントリーを作っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 今回は昨年の秋に内輪の研修会で行った講演の記録が手に入りましたので、若干の加筆訂正を施して、一般に公開したいと思います。生…

困難事例の元になりにくい医師の「体質」とは

医師誘発性困難事例についてのエントリーとは逆のベクトルのエントリーです。では、困難の元にならない医師の体質を考えてみます。 このことを考えるときに、真っ先に思い浮かぶのは、ロチェスター大学家庭医療学教授のRonald Epsteinが1999年にJAMAに発表し…

医師誘発性困難事例の類型

地域医療において,複雑度の高い,対応の難しいいわゆる困難事例に対応することは,地域基盤型プライマリ・ケア担当総合診療医=家庭医としての重要な仕事です。 この何年かの間に様々な地域や集まりで,地域の難しいケースに関して,家庭医として相談にのる…

大きな教育病院あるいは大学病院のなかで診療所家庭医が教育できること

この5年くらい、大学病院や大規模公的教育病院などのカンファレンスにアドバイザーとしてよばれたり、家庭医としての自分に、主として総合診療あるいは内科レジデントが症例相談する会などを企画していただく機会が増えました。従来は、診療所家庭医と病院と…

教養と雑学の違い

教養と雑学の違いに関することを記述しておきます。 1.前提として,仕事の役に立つプラクティカルなマニュアル的知識ばかりおいもとめるのはバーンアウトを準備する条件の一つになるということを理解しておきたいです。 2.仕事の役に立たないが,自分の…

「Generalist 7段」相当の病院総合診療医に求められるコンピテンシー

そうとうイケてるGeneralistは「専門医」というより段位(将棋を想定)で示すべきとかんがえているこの頃です。たとえば、機構認定総合診療専門医は、僕の考えではGeneralist 4段相当です。7段は、Expert Generalistすなわち卓越したGeneralistに与えられる…

複雑困難事例や多疾患並存の診療のために必要なこと

この数年間、いくつかの比較的規模の大きい病院の総合内科や総合診療科でのケース・カンファレンスに参加したり、あるいはコンサルテーションで招かれたりしています。むろん地域の家庭医としての仕事をしている自分だからということで、セレクションしても…

DPC・総合病院での総合診療の役割

昨年末から今年はじめにかけて,僕は予想外の入院生活を20日間過ごすことになった。緊急入院や全麻手術,リカバリールーム,感染症合併など様々な経験をすることになった。そして,DPC病院/総合病院の内部で時間を過ごすことは,長い医師生活において,はじ…

12年前に病院総合診療医について考えていたこと

今回,地域立脚型中小規模病院が総合診療の拠点となるためのkey issuesというタイトルで,当時の総合診療医学会に寄稿したエッセイをRemixして再録してみます。 当時の時代認識と現在の状況は異なるところもありますが,今読み返すといろいろ気づきもありま…

やりますか?理論家庭医療学研究会

家庭医療学は様々な源流があるけれども,やはりIan McWhinneyによる1980年代の仕事が圧倒的に重要である。いわゆる患者中心の医療に関する一連の研究も当然その時代の重要なアウトプットなのだが,僕的には,A Textbook of Family Medicineにつながる哲学的…

家庭医療学研究がマヂに盛んになってほしいです

ふたたび、家庭医ってなんですか? いいかげんもう定義云々はやめにしたいが、日本では今後おそらく以下の仕事をする医師が家庭医と呼ばれることになるだろう。 *診療所あるいは病院において非選択的プライマリ・ケア外来診療を行う*在宅ケアチーム及び地…

複雑困難事例により地域力は上昇する

複雑困難事例は、しばしば問題解決が困難で、予想外の要因が途中で絡まりながら。見守るしかないという帰結になる場合があります。かかわったさまざまな職種の人たちは、ある意味敗北感や無力感に陥ることもあります。しかし、スタッフで、時には対象となる…

Expert Generalist PracticeにおけるInterpretive Medicineの意味

健康とは、繰り返し必ず実施している日々の生活(ルーチン)を保証ためのリソースであるという前提で、健康をどう支援できるかを考えることが自己あるいは主体へのアプローチだといえるでしょう。生活ルーチンは、たとえば職業上の複雑な業務から、日々の買…

現時点での「自分的」Expert Generalist Practiceの概念図

プライマリ・ケア連合学会設立の意味を振り返る

医学の世界に限らす比較的少数派のグループは、立場の違い、理論的違いによる対立と分裂が生じやすいものです。逆に集団として大きな力をもつと、内部の対立があっても全体としてのまとまりはなんとか維持されます。例えば政権与党内には様々な派閥があり、…

専門医から内科系総合医や家庭医への転向

最近、長らく循環器内科医を病院でやっていたが、諸事情で診療所開業することになったが、どんなふうに自分を整え、診療にフィットさせたらいいのだろうか?とか、あるいは眼科医をずっとやっているのだが、内科の勉強も続けていきたいのだが、どうしたらよ…

医学教育について15年前に考えていたこと

今回は、今から15年ほど前、卒後臨床研修必修化直前に日本医療評価機構と日本医師会の合同で開催されたシンポジウムでの僕の講演記録です。非常に古いものなのですが、当時医学教育にかなり燃えていた時期でした。 もう15年前なので、話の内容はそうとう古く…

お節介な家庭医療がめざすこと

25歳の男性が、咽喉が痛く、37.5度の熱があるとのことで、ある日診療所を訪れました。所見からウイルス性の咽頭炎つまりは、「カゼ」という診断をしました。ここで、薬を処方し、診察を終了するというのが、まあ普通の診療ですし、それ自体は正しい診療です…

なぜ省察的実践家としての家庭医なのか?

地域のかかりつけ医としての家庭医はどのようにして育つのか?これは私自身がどの様に自らを成長させていくかということでもあり、また若い家庭医をどう教育し、育てればいいのかということにもつながります。 家庭医の仕事の特徴は何でしょうか?たとえば、…