2015-01-01から1年間の記事一覧
千葉大学専門職連携教育研究センター(IPERC)で週一日教育と研究の時間を持つようになって、1年経ちました。たいへん得難い経験をさせていただいており、感謝の極みです。 さて、専門職連携或は多職種連携とかいま医療者教育界のトピックになっていますが、…
土橋朗、倉田香織訳「独立処方と補助処方~英国で広がる医療専門職の役割」(薬事日報)を読ませていただきました。 日本は高齢社会に突入し、病院から地域へ、キュアからQOLの維持・向上へ、単一急性疾患モデルからMultimorbidity(多疾患併存)へといった…
総合診療科 2017年より総合診療が19の基本専門領域の1つとして認められることになり,「総合診療専門医」が日本に誕生する道筋がつくられることになった. 日本の総合診療の特徴は,診療所をフィールドとする「家庭医」と,病院をフィールドとする「病院総合…
家庭医を長年やっていますと、やはり自分の現場に直接かかわる研究は非常に興味がありますし、特にプライマリ・ケアフィールドで実施された研究は、自分自身の診療にあたえる影響も大きいですし、また知的な楽しみや刺激があります。ですので、研究論文を読…
Kindle for Android で 近藤淳也 の 角川インターネット講座5 ネットコミュニティの設計と力 つながる私たちの時代<角川インターネット講座> (角川学芸出版全集) を読み終わりました! http://www.amazon.com/kindleforandroid/ 興味深く読みました。 はてな…
*まず、はじめに 中年以降~初老期にどんなスタイルのプライマリ・ケア医や家庭医になるかについて、意識的にならないとヤバい医者になりかねない。こうした感覚は実感としてわかる。 勢いだけでUptoDateが保てなくなってきた年齢からが、ほんとうのプロフ…
Robert B. Taylor著 吉村学/小泉俊三 監訳 テイラー先生のクリニカル・パール1:診断にいたる道筋とその道標 メディカル・サイエンス・インターナショナル が出版された。 僕が個人的に勝手に「Taylor三部作」と呼んでいる一連のRobert Taylor先生のマスタ…
いったいぜんたい大学医学部の教育プログラムの成果は何で図られるのか?ということに興味をもちまして、いろいろ懇談などしていますと、国家試験合格はまあ対外的には重要らしいのですが、内部的には卒業生が自分の大学病院の初期研修プログラムにどのくら…
John GabbayとAndrée le Mayは英国のプライマリ・ケア診療のエスノグラフィー研究を約9年間にわたって行った*1。 非常に興味深いその結果を、いくつか紹介してみよう。 まず、GPの役割は以下の4つがあるとのこと。これらは全体に複雑で、混乱しやすく、同時…
プライマリ・ケアに携わる医師のトレーニングは、常にその国や地域のヘルスケアシステムから要請される医師像に依拠するものである。しかし、例えば心臓外科医ならば、心臓外科医にもとめられる臨床能力のコンテンツはヘルスケアシステムに依存することなく…
いよいよ診療所の医者がヤブ化していく姿が、同世代でチラホラとみえるようになってきた。 若い医師は決してその医者になにかを指摘することはないので、ヤブ化している本人がそれに気づくこともない。また、日本はフリーアクセスということになっているので…
2007年頃に年下の同僚からすすめられた梅田望夫さんの「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」ちくま新書 2006年 は当時僕にとっては、そうとう衝撃的な読書体験となった。「すべてがGoogleになる」「すべての人が発信者になる」といったフレーズは当…
なんとなく事務所もそれなりに実体がでてきているので、そろそろヴィジョン&ミッション&行動計画書を作る必要がでてきたが、なかなか難しい・・・妄想も含めて、草稿としてつらつら書いてみよう。これが全部実現できるとはおもってないけれど・・・ 藤沼康…
Population health management(PHM)とは、ある保険集団内の健康アウトカムの構成、その構成に影響を与える健康決定要因、さらにその決定要因にインパクトをもたらす政策と介入のことである(Nash)とされる。 日立総研の中村桃子氏による解説を要約すると、1.集団を…
ついにというか、やっとのことで4月20日に 日本専門医機構「総合診療専門医に関する委員会」からの報告として、総合診療専門医の6つのコアコンピテンシーが発表されました。今後はこのブログでも様々な側面から取り上げていこうと思いますが、結果的には家庭…
2007年頃よりPatient centered medical home:PCMHを自らのもっとも中心的なプロジェクトと位置づけた米国家庭医療学会は、家庭医療専門研修プログラム(レジデンシー)がPCMHに必要なかかりつけ医(Personal physician)を養成することをアウトカムとして、…
Complex interventionはジェネラリストらしい、あるいはジェネラリストが非常に価値のあるものとしてうけいれることができるような「介入」を考えていく上で非常に示唆的なコンセプトである。 このエントリーでは、プライマリ・ケアの場面(General Pratice…
これからの日本のプライマリ・ケアにおいては、まちがいなくMultimorbidityがキーワードなると思います。で、2005年にBoydらがJAMAに発表した論文が非常に興味深いです。これは、Multimorbidityの時代において、高齢者に頻度の高い慢性疾患の診療ガイドライ…
一体ジェネラリスト医師の特徴とか特異性はどこにあるのか?ということにはそれなりに関心がある。たとえば、継続ケアとか診療の幅広さとか心理社会的な問題への対応とかを上げると、他科医師から「あ、それはオレだってやってるよ」っていわれてしまうよう…
今回のエントリーではこの文献を取り上げます。 TITLER, Marita G., et al. Translating research into practice intervention improves management of acute pain in older hip fracture patients. Health services research, 2009, 44.1: 264-287. リンク…
大都市の家庭医療や総合診療は、地方、僻地、離島などにおけるそれとはまた違った診療展開が必要なんですが、かならずしもそれらをターゲットにしたテキストはありません。まずはブレインストーミング的に目次項目を列挙したいところ。特にNon-medical issue…
継続的に患者を診ることが大切で効果的なことは自明のことのようにおもわれがちですが、長く診ることで生じる認知上様々バイアスがあるものです。 たとえば・・・1.徐々に進行する異常に気づかない たとえばパーキンソン病は徐々に進行するため、単に退行…
専門職連携Interprofessional work(IPW)はいま日本の医療、介護、福祉の領域の教育においてはブームになっているといってよいだろう。むかしからチーム医療というのは、重視すべきと言われ続けてきたが、特に近年強調されるのはなぜか?ということに注目し…
カナダでの訪問看護~在宅ケアへのBest Practiceの普及に関してGrounded theoryでそのプロセスを明らかにする研究論文(文献1 かなりうつくいしいものだった)をJournal Clubで読んでディスカッションになったが、その時日本の訪問看護ステーションへの適用…
今年1月から、あたらしい仕事として、大学院看護学研究科で月2回のJournal Clubを運営することになりました。 だいたい抄読会っていうのは、医者生活の中では、数限りなく「始めて数ヶ月で消滅」を繰り返してきたわけで、あまりよい印象がありません。まあ、…
おそらく本来の意味でEBMは個別ケアレベルの実践である。 そして、たとえば組織がEvidenceにもとづく実践により診療の質の改善を図ろうとしても実際には非常に難しい場面に直面するものである。日本ではEvidenceをSpreadする方略はあまり取り上げられること…
遅ればせながら、今年もよろしくお願い致します。 さて、Evidence based practiceを現場に実装すること。あるいはGood Practiceを現場に導入、定着させることは、エビデンスの構築と同等あるいはそれ以上にむずかしいと思われる。 たとえば、ある医療現場で…