中年以上の家庭医がLow Performerにならないために

*まず、はじめに 中年以降~初老期にどんなスタイルのプライマリ・ケア医や家庭医になるかについて、意識的にならないとヤバい医者になりかねない。こうした感覚は実感としてわかる。 勢いだけでUptoDateが保てなくなってきた年齢からが、ほんとうのプロフ…

ジェダイ・マスター的家庭医になるために

Robert B. Taylor著 吉村学/小泉俊三 監訳 テイラー先生のクリニカル・パール1:診断にいたる道筋とその道標 メディカル・サイエンス・インターナショナル が出版された。 僕が個人的に勝手に「Taylor三部作」と呼んでいる一連のRobert Taylor先生のマスタ…

大学病院に残る医学部卒業生をどうしたら増やせるのか?

いったいぜんたい大学医学部の教育プログラムの成果は何で図られるのか?ということに興味をもちまして、いろいろ懇談などしていますと、国家試験合格はまあ対外的には重要らしいのですが、内部的には卒業生が自分の大学病院の初期研修プログラムにどのくら…

「診療ガイドライン」と「診療マインドライン」

John GabbayとAndrée le Mayは英国のプライマリ・ケア診療のエスノグラフィー研究を約9年間にわたって行った*1。 非常に興味深いその結果を、いくつか紹介してみよう。 まず、GPの役割は以下の4つがあるとのこと。これらは全体に複雑で、混乱しやすく、同時…

米国家庭医療から何を学ぶか?患者中心のメディカルホームへ:Part 1

プライマリ・ケアに携わる医師のトレーニングは、常にその国や地域のヘルスケアシステムから要請される医師像に依拠するものである。しかし、例えば心臓外科医ならば、心臓外科医にもとめられる臨床能力のコンテンツはヘルスケアシステムに依存することなく…

診療所で家庭医がヤブ化しないための10の原則(承前)

いよいよ診療所の医者がヤブ化していく姿が、同世代でチラホラとみえるようになってきた。 若い医師は決してその医者になにかを指摘することはないので、ヤブ化している本人がそれに気づくこともない。また、日本はフリーアクセスということになっているので…

年長者よ、クラウドで仕事をしよう

2007年頃に年下の同僚からすすめられた梅田望夫さんの「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」ちくま新書 2006年 は当時僕にとっては、そうとう衝撃的な読書体験となった。「すべてがGoogleになる」「すべての人が発信者になる」といったフレーズは当…

事務所のヴィジョンとミッションを書いてみる

なんとなく事務所もそれなりに実体がでてきているので、そろそろヴィジョン&ミッション&行動計画書を作る必要がでてきたが、なかなか難しい・・・妄想も含めて、草稿としてつらつら書いてみよう。これが全部実現できるとはおもってないけれど・・・ 藤沼康…

日本のプライマリ・ケア現場におけるPopulation Health Managementを構想する

Population health management(PHM)とは、ある保険集団内の健康アウトカムの構成、その構成に影響を与える健康決定要因、さらにその決定要因にインパクトをもたらす政策と介入のことである(Nash)とされる。 日立総研の中村桃子氏による解説を要約すると、1.集団を…

日本の総合診療医の6つのコアコンピテンシー

ついにというか、やっとのことで4月20日に 日本専門医機構「総合診療専門医に関する委員会」からの報告として、総合診療専門医の6つのコアコンピテンシーが発表されました。今後はこのブログでも様々な側面から取り上げていこうと思いますが、結果的には家庭…

米国家庭医療レジデンシーのイノベーション:P4から学ぶ

2007年頃よりPatient centered medical home:PCMHを自らのもっとも中心的なプロジェクトと位置づけた米国家庭医療学会は、家庭医療専門研修プログラム(レジデンシー)がPCMHに必要なかかりつけ医(Personal physician)を養成することをアウトカムとして、…

エキスパート・ジェネラリストとはオルタナで協働的である

Complex interventionはジェネラリストらしい、あるいはジェネラリストが非常に価値のあるものとしてうけいれることができるような「介入」を考えていく上で非常に示唆的なコンセプトである。 このエントリーでは、プライマリ・ケアの場面(General Pratice…

Multimorbidityの時代と診療ガイドライン

これからの日本のプライマリ・ケアにおいては、まちがいなくMultimorbidityがキーワードなると思います。で、2005年にBoydらがJAMAに発表した論文が非常に興味深いです。これは、Multimorbidityの時代において、高齢者に頻度の高い慢性疾患の診療ガイドライ…

エキスパート・ジェネラリストとは何ができる人のことなのか?(承前)

一体ジェネラリスト医師の特徴とか特異性はどこにあるのか?ということにはそれなりに関心がある。たとえば、継続ケアとか診療の幅広さとか心理社会的な問題への対応とかを上げると、他科医師から「あ、それはオレだってやってるよ」っていわれてしまうよう…

EBP実装には究極の医療組織マネージメント能力が必要

今回のエントリーではこの文献を取り上げます。 TITLER, Marita G., et al. Translating research into practice intervention improves management of acute pain in older hip fracture patients. Health services research, 2009, 44.1: 264-287. リンク…

Urban Family Medicine@Japan構想中

大都市の家庭医療や総合診療は、地方、僻地、離島などにおけるそれとはまた違った診療展開が必要なんですが、かならずしもそれらをターゲットにしたテキストはありません。まずはブレインストーミング的に目次項目を列挙したいところ。特にNon-medical issue…

継続診療のピットフォール

継続的に患者を診ることが大切で効果的なことは自明のことのようにおもわれがちですが、長く診ることで生じる認知上様々バイアスがあるものです。 たとえば・・・1.徐々に進行する異常に気づかない たとえばパーキンソン病は徐々に進行するため、単に退行…

専門職連携教育はなぜ必要とされているのか?

専門職連携Interprofessional work(IPW)はいま日本の医療、介護、福祉の領域の教育においてはブームになっているといってよいだろう。むかしからチーム医療というのは、重視すべきと言われ続けてきたが、特に近年強調されるのはなぜか?ということに注目し…

日本における訪問看護の質向上

カナダでの訪問看護~在宅ケアへのBest Practiceの普及に関してGrounded theoryでそのプロセスを明らかにする研究論文(文献1 かなりうつくいしいものだった)をJournal Clubで読んでディスカッションになったが、その時日本の訪問看護ステーションへの適用…

ジャーナル・クラブ再考

今年1月から、あたらしい仕事として、大学院看護学研究科で月2回のJournal Clubを運営することになりました。 だいたい抄読会っていうのは、医者生活の中では、数限りなく「始めて数ヶ月で消滅」を繰り返してきたわけで、あまりよい印象がありません。まあ、…

EBMとEBP実装のあいだのギャップ

おそらく本来の意味でEBMは個別ケアレベルの実践である。 そして、たとえば組織がEvidenceにもとづく実践により診療の質の改善を図ろうとしても実際には非常に難しい場面に直面するものである。日本ではEvidenceをSpreadする方略はあまり取り上げられること…

Evidence based practiceの実装は如何にして可能なのか?

遅ればせながら、今年もよろしくお願い致します。 さて、Evidence based practiceを現場に実装すること。あるいはGood Practiceを現場に導入、定着させることは、エビデンスの構築と同等あるいはそれ以上にむずかしいと思われる。 たとえば、ある医療現場で…

Promising Revolution through Family Medicine

"Genetics promises revolution" (again). Old fashioned family medicine, adequately funded and professionally led, promises bigger revolution. — Trisha Greenhalgh (@trishgreenhalgh) 2014, 12月 22 遺伝学は革命を起こすことはまちがいない。 だが…

連携という観点からみた医療者の生涯学習

専門職の連携という観点からみた生涯学習(Continuing Professional Development: CPD)の分類が試みられている。Barrによる以下の論文を参照しつつ、自分なりに整理してみたい。 Barr H. An anatomy of continuing interprofessional education. J Contin E…

慢性疾患のケアとHealth Systems Architectとしての家庭医の役割

地域基盤型のプライマリ・ケアを主たる任務とする総合診療医,すなわち家庭医にとって,慢性の健康問題のケアは極めて重要な課題である. たとえば7年前の脳梗塞により,右不全片麻痺があり,高血圧症のある69歳の男性のケアを考えてみよう.この患者の問題…

地域立脚型中小規模病院がGeneralist Medicine/総合診療の拠点となるためのKey Issues

以下のエッセイは、平成17年に総合診療系の学会誌に発表したものをリマスタリングしたものです。 はじめに 近年の日本におけるヘルスケア・システムの変化と医学医療自体のパラダイム変化により、医療施設は、curative careと入院医療を中心とした総合病院、…

在宅医療におけるバイタルサイン

在宅医療では検査リソースは少ないですが、実は患者の状態を判断する上で重要となるのは基本的なバイタルサインです。 まず、体温測定です。定期訪問診療をしている患者の家族から「今朝から動きがわるくて、立とうしてもうまく立てないようです。脳卒中にな…

androidアプリHatenaBlogから投稿してみました

カンタンに、スマホから写真アップできるのが、よいですね。

プライマリ・ケアにおいてなぜ家族志向が必要なのか?

プライマリ・ケアを「初期診療のことでしょ」とか「軽症救急?」とか「基本的診療能力のことだろ」という認識がいまだに存在しているし、声の大きい(?)医学アカデミーの重鎮の間でまだまだそうした見解が蔓延している現状は残念ですが、まあ、経験したこ…

日本の総合診療へのアドバイスをいただきました

英国のGPであり、総合診療のエートスを確立したとされる名著「Innner Consultation」(邦題:内なる診療)の著者である、Roger Neighbour先生が来日され、ある集まりでお話されたことの要点を以下にメモしました。 英国ではGeneral practice(家庭医療、地域…