2007年頃よりPatient centered medical home:PCMHを自らのもっとも中心的なプロジェクトと位置づけた米国家庭医療学会は、家庭医療専門研修プログラム(レジデンシー)がPCMHに必要なかかりつけ医(Personal physician)を養成することをアウトカムとして、…
Complex interventionはジェネラリストらしい、あるいはジェネラリストが非常に価値のあるものとしてうけいれることができるような「介入」を考えていく上で非常に示唆的なコンセプトである。 このエントリーでは、プライマリ・ケアの場面(General Pratice…
これからの日本のプライマリ・ケアにおいては、まちがいなくMultimorbidityがキーワードなると思います。で、2005年にBoydらがJAMAに発表した論文が非常に興味深いです。これは、Multimorbidityの時代において、高齢者に頻度の高い慢性疾患の診療ガイドライ…
一体ジェネラリスト医師の特徴とか特異性はどこにあるのか?ということにはそれなりに関心がある。たとえば、継続ケアとか診療の幅広さとか心理社会的な問題への対応とかを上げると、他科医師から「あ、それはオレだってやってるよ」っていわれてしまうよう…
今回のエントリーではこの文献を取り上げます。 TITLER, Marita G., et al. Translating research into practice intervention improves management of acute pain in older hip fracture patients. Health services research, 2009, 44.1: 264-287. リンク…
大都市の家庭医療や総合診療は、地方、僻地、離島などにおけるそれとはまた違った診療展開が必要なんですが、かならずしもそれらをターゲットにしたテキストはありません。まずはブレインストーミング的に目次項目を列挙したいところ。特にNon-medical issue…
継続的に患者を診ることが大切で効果的なことは自明のことのようにおもわれがちですが、長く診ることで生じる認知上様々バイアスがあるものです。 たとえば・・・1.徐々に進行する異常に気づかない たとえばパーキンソン病は徐々に進行するため、単に退行…
専門職連携Interprofessional work(IPW)はいま日本の医療、介護、福祉の領域の教育においてはブームになっているといってよいだろう。むかしからチーム医療というのは、重視すべきと言われ続けてきたが、特に近年強調されるのはなぜか?ということに注目し…
カナダでの訪問看護~在宅ケアへのBest Practiceの普及に関してGrounded theoryでそのプロセスを明らかにする研究論文(文献1 かなりうつくいしいものだった)をJournal Clubで読んでディスカッションになったが、その時日本の訪問看護ステーションへの適用…
今年1月から、あたらしい仕事として、大学院看護学研究科で月2回のJournal Clubを運営することになりました。 だいたい抄読会っていうのは、医者生活の中では、数限りなく「始めて数ヶ月で消滅」を繰り返してきたわけで、あまりよい印象がありません。まあ、…
おそらく本来の意味でEBMは個別ケアレベルの実践である。 そして、たとえば組織がEvidenceにもとづく実践により診療の質の改善を図ろうとしても実際には非常に難しい場面に直面するものである。日本ではEvidenceをSpreadする方略はあまり取り上げられること…
遅ればせながら、今年もよろしくお願い致します。 さて、Evidence based practiceを現場に実装すること。あるいはGood Practiceを現場に導入、定着させることは、エビデンスの構築と同等あるいはそれ以上にむずかしいと思われる。 たとえば、ある医療現場で…
"Genetics promises revolution" (again). Old fashioned family medicine, adequately funded and professionally led, promises bigger revolution. — Trisha Greenhalgh (@trishgreenhalgh) 2014, 12月 22 遺伝学は革命を起こすことはまちがいない。 だが…
専門職の連携という観点からみた生涯学習(Continuing Professional Development: CPD)の分類が試みられている。Barrによる以下の論文を参照しつつ、自分なりに整理してみたい。 Barr H. An anatomy of continuing interprofessional education. J Contin E…
地域基盤型のプライマリ・ケアを主たる任務とする総合診療医,すなわち家庭医にとって,慢性の健康問題のケアは極めて重要な課題である. たとえば7年前の脳梗塞により,右不全片麻痺があり,高血圧症のある69歳の男性のケアを考えてみよう.この患者の問題…
在宅医療では検査リソースは少ないですが、実は患者の状態を判断する上で重要となるのは基本的なバイタルサインです。 まず、体温測定です。定期訪問診療をしている患者の家族から「今朝から動きがわるくて、立とうしてもうまく立てないようです。脳卒中にな…
カンタンに、スマホから写真アップできるのが、よいですね。
プライマリ・ケアを「初期診療のことでしょ」とか「軽症救急?」とか「基本的診療能力のことだろ」という認識がいまだに存在しているし、声の大きい(?)医学アカデミーの重鎮の間でまだまだそうした見解が蔓延している現状は残念ですが、まあ、経験したこ…
英国のGPであり、総合診療のエートスを確立したとされる名著「Innner Consultation」(邦題:内なる診療)の著者である、Roger Neighbour先生が来日され、ある集まりでお話されたことの要点を以下にメモしました。 英国ではGeneral practice(家庭医療、地域…
医療者が生涯教育をつづけるために必要なコンピテンシーリストが以下の文献で提案されており、極めて有用である。日本においては知識や技術のコンテンツのアップデートの提供とそのうけとりが、生涯教育とされているが、それは本質とは異なっている。 Campbe…
先日千葉看護学会でIowa大学の看護師で、看護研究者のローラ・カレン先生のEvidence based PracticeのIowa大学病院の医療への実装(Implementation)に関する、2時間のレクチャーを拝聴する機会があったが、非常に感銘をうけた。 EBMの実践はどちらかという…
地域基盤型プライマリケア担当ジェネラリスト、すなわち家庭医としての診療の対象は、近年そのレンジが拡大してきている。特に高齢社会を背景にして、在宅ケアを初めてとして、複雑で困難な事例に対応することが求められつつある。従来の軽症の急性感染症と…
藤沼康樹事務所(仮)の考えるプライマリ・ケアにおける地域志向性(Community orientation)とは、 地縁血縁コミュニティへのアプローチ テーマコミュニティへのアプローチ を2つの軸とするので、地域は従来の「地域」と「共同体」の2つの意味をもつ。 具体…
継続性(Continuity) 「ずっと同じ医者がみること」ではない 慢性疾患を継続管理することだけではない 対人関係継続性が最重要、またここに、このドクターに、このナースに相談にのってもらおうと思ってもらえるような関係ができること 一発の診察で継続性…
日本において求められるプライマリ・ケアの属性あるいは行動原則は、現在及び未来のヘルスケアシステムを構想するときには独自に設定する必要があると思うたりしています。そして従来よく言われてきた「ACCCA」ではなくて以下の6つが適切ではないかと最近考…
医学と看護の新しい関係性 家庭医 今日お話を聞いて知りましたが,実は看護学部では家庭医の「地域の住民を継続的に診ていく」という特徴に通底する教育がなされているのですね.もう少し家庭医は,看護と研究も教育も一緒にやったほうがヘルスケア上有益だ…
看護研究の成果をプライマリ・ケアにつなげる 看護教育者 では,看護研究や実践の成果をプライマリ・ケア医に伝える仕組み作りは,どうしていったらいいのでしょう? 家庭医 おそらく診療所の看護師が,そういう研究や実践を学ぶ機会が多くあることが重要に…
3つのパートに分けて、いぜんにPublishした対話(現在は手に入らないようですので)をこのブログに再録したいと思います。対話のお相手は旧知の看護学研究者・教育者です。Family Medicineと看護学は様々なオーバーラップする領域があり、お互いに刺激しあ…
フランス発の認知症高齢者ケアメソッド「ユマニチュード」の待望の解説書が登場した。 日本が人類史上経験しえなかった高齢社会を迎えるにあたって、認知能などの機能低下のある高齢者の増加に医療、介護、福祉がどのような姿勢をもって望むのかということに…
自分は実は大学の医局というところに籍をおいたことがありません。卒後すぐ地域での研修や医療活動を開始しました。一時都立病院血液科で働いたり、あるいはいくつかの大学医学部の地域医療実習(診療所実習)を担当したり、年に一度、札幌医大で家庭医療の…